一般公開:特定整備認証制度について
自動車整備技術の高度化検討会において2019年11月「中間とりまとめ」が公表され、特定整備制度の方向性が示されました。2019年5月に公布された道路運送車両法の改正によって、従来の「分解整備」の範囲が拡大され、「特定整備」という名称に改められました。
特定整備という言葉は、従来の分解整備を含む、認証が必要な整備全体を定義した名称を指します。つまり、今回の改正で新たに特定整備となる作業に対しては、「電子制御装置整備(電子制御装置搭載車のバンパー、グリル脱着など)」という呼び方が用いられることになります。
●新しく特定整備の対象となる装置と作業内容
今回の特定整備より新たに対象となる装置と作業内容は、「自動運行装置」と、「衝突被害軽減ブレーキ」及び「レーンキープ機能」の一部として前方をセンシングするためのセンサー類に対する作業です。
また、カメラやレーダーなどが取り付けられているフロントバンパーやフロントガラスの脱着についても、その後の機能調整が必要となるため、特定整備の対象作業に含まれています。
(特定整備の対象となる装置は、保安基準が設定されていることが前提となるため、保安基準が定められていない装置や、保安基準が定められる前に実装された装置は対象外となります。)
●エイミング作業の種類
センサー類の機能調整作業が特定整備の対象となるかはその作業方法によっても異なり、停止した車両の周囲にターゲットを設置して調整する「静的エイミング」は特定整備の対象となるが、自動車を走行させることで自動的に調整する「動的エイミング」のみで作業が完了する場合は対象外となります。
(動的エイミングのみで調整可能な車両であっても、カメラなどが物理的に破損した場合、カメラの交換後のECUの機能調整(コーディング作業)などは特定整備の対象となります。)
●認証のパターン
1. 従来の分解整備のみ
2. 電子制御装置整備のみ
3. 分解整備及び電子制御装置整備の両方
●特定整備の認証基準
・従来の分解整備のみを行う場合
これまでの要件から変更はありません。
・電子制御装置整備を行う場合
電子制御装置点検整備作業場及び車両置き場の確保と、水準器、スキャンツールの保有、整備士及び整備主任者の要件を満たした工員の配置が求められます。
●国土交通大臣が定める一定基準を満足している講習の内容
電子制御装置整備における工員の認証要件を満たすためには、車体整備士などが受講する必要があります。
・学科:自動車特定整備事業に係る法令など
・実技:エイミング作業など
・試問:学科及び実技の講習内容に基づく筆記試験
●経過措置
改正法が施行される際、電子制御装置整備に相当する事業を経営している事業者に対して、法施行日から4年間は引き続き当該事業を経営することができる経過措置が規定されています。
「特定整備」に関しての正確な情報は下記リンクよりご確認ください。
国土交通省 自動車整備高度化検討会
自動車整備技術の高度化検討会 - 特定整備制度の方向性 -
中間とりまとめ(案)
http://www.mlit.go.jp/common/001311746.pdf